狭小住宅
近頃「狭小住宅」という言葉が雑誌などで広まっていますが、これは一般的には約20坪以下の敷地に建つ小さな住宅を指します。ニュアンスとしては、単に小さい狭いというのではなく、狭さを感じさせないスッキリとした間取り・開放感のあるデザイン的工夫がされた都会型の一戸建てというものでしょう。次のような理由で「土地は小さいけど、何とかして快適な家が建てたい」と思われる方が「狭小住宅」の建て主となられます。
狭小住宅を選ぶ理由
- 大阪市内など、都市部に住みたいので、予算的に小さい土地しかムリ。
- 親から譲り受けた土地があるが、狭小地または変形地である。
- 今建っている家を建て替えようと思うが、新しい法規制(建ぺい率・敷地のセットバック)によると小さい家しか建てられない。
- 住みたい地域にたまたま土地を見つけたが、狭小地または変形地である。
- 土地にかける予算は抑えて、その分家のデザインや設備、インテリアに凝りたい(家は小さくて構わないが、自分のこだわりを実現したい)。
都市型の狭小住宅を快適にするための工夫とは?
狭小住宅は、土地が単に小さいのではなく都市型の密集地にあるケースが多いのが最大の特徴です。そこで、狭小住宅では@広く感じる工夫だけではなく、A通風・採光の確保とBプライバシーの両立についても工夫が必要です。
- 空間はなるべく大きくとり、細々と間仕切らない。空間を区別したい場合は壁をつくるのではなく、例えば家具やグリーンで視線を遮る、床材や壁材を変えて空間の用途の違いを演出する、ロールスクリーンなどで緩やかに仕切るなどする。「L・D・K」や「バス・洗面・トイレ」を一体空間としたり、子供が二人いる場合の子供部屋も、普段は一つの空間で状況に応じて軽く仕切れるようにする。
- 間仕切り・ドア・階段などに「透け感・抜け感」のある素材を使うことで光を遮らず、空間に広がりを感じさせる。
- 住居をロの字やコの字型にするなどして中庭をつくり(コートハウス)、プライバシーと採光を両立。
- 吹き抜けや坪庭など、「抜け感」のある空間をあえて設ける。吹き抜けも欲しいが床面積も確保したい場合、例えばリビングの上部にグレーチング(金属製の格子床)などの透け素材の床を設ければ、開放感と床面積の両方が得られる。
- 天窓など高い位置に窓を設け、外からの視線を避けて採光を確保。
- LDKは2階に配置して、通りからの視線や音を避ける。
- お隣の家と窓の位置をずらしてプライバシーを確保。お隣の生活音が気になりそうな場合は、窓を二重サッシにする。
- 収納スペースは、床下・屋根裏・階段下・壁中などデッドスペースを利用して最大限確保する。
- 収納家具は、空間をデコボコさせて狭く見せる置き家具ではなく、内装と一体感のあるデザインの造りつけ収納でスッキリ見せる。
- ロフト(高さ1.4m以下で直下階の1/8以下の広さなら法的な床面積に入らない)や地下室、屋上をつくってスペースを増やす。「庭は1階」という固定概念にとらわれず屋上につくれば、その分居室が広くとれる場合も。
狭小住宅は、ともすれば「仕方なく」というニュアンスがありますが、住まいは必ずしも「大きいことは良いこと」ではありません。むしろ夫婦共働きなど忙しいご家族の場合、適度に狭い方が掃除も簡単で家事効率もよく、毎日をスピーディに過ごせてベターだったりするくらいです。ただ、ホっと落ち着いた気分になるためには開放感=空間の広がり、明るさ、新鮮な空気が必要なのであり、それは上記のように設計の工夫で何とかなるものです。アイデア次第で小さくても快適な住まいは十分可能です。私たちは大阪市内の密集地で多くの狭小住宅を手がけてきた経験をもとに、お客様に合った間取りをご提案させて頂きます。